主宰論文紹介

【胆江日日新聞寄稿 2001.10.17 掲載 オリジナル文】
「胆江地域の情報化推進 〜 地域活力向上のために」

インターネットは世界を繋ぐワールドワイドなネットワークですが、
同時に身近な地域を繋ぐローカルなネットワークでもあります。
核家族化や農業等での共同作業の減少によって、地域コミュニティ
の繋がりが薄れてきた現在、あらためて身近な地域、個々人を繋ぐ
仕組みとしてインターネットの果たす役割は大きいものと考えます。

特に、都市圏から離れた地方都市においては、一方でワイドネット
ワークの特性を活かして都会との情報格差(収集&発信)を縮小し、
また一方で、ローカルネットワークの特性を活かして、地域コミュ
ニティの再構築を行うという形で、インターネットは地域活力向上
の大きな可能性をもたらすものと考えます。

この意味で、地域における情報化の推進、インターネットの活用は、
胆江地域においても大きな取り組みテーマになるものと考えます。
また、情報化推進の具体策として、地域ネットコミュニティの活用
が重要になると考えます。

地域ネットコミュニティは、地域の仲間が集い、地域の話題を中心
に幅広い会話を楽しみつつ、相互交流や刺激の中から地域の蓄積を
見つめ直し、生活、趣味、ビジネス、文化など各面で新たなものを
生み出していく場であり、またこうした交流を通じて、情報活用力
=情報リテラシーを高めていく場でもあります。

現在、各地域にてIT講習会が開催されていますが、受講者の話を
聞くと、一通りの操作は出来る様になったものの、まわりにネット
仲間も少なく、実際の情報活用、交流の楽しみという形でなかなか
活かされていない現状が見えてきます。
身近な地域の仲間と身近な話題について日常の会話を楽しみながら、
スキルを高めていける様な場、仕組みについてのニーズが高まって
おり、この意味でも地域ネットコミュニティは有効となります。


こうした地域ネットコミュニティは、現在、様々な研究模索が進め
られている段階ですが、私は、具体的なプロトタイプとして「水沢
ネットクラブ」を構築・提案いたします。
http://mizusawa.kimono.gr.jp/

「水沢ネットクラブ」は、コミュニティメンバー同士の自然な会話、
交流を誘導、促進する仕組みとして、仮想都市のメタファー(疑似
表現)を用い、コミュニティの広場にメンバー各自の家を用意して
います。
この家には、自己紹介コーナーと自分専用の掲示板他があり、メン
バーはこの家を拠点として、互いの家を訪ね合い仲間と個々の会話
を積み重ねつつ、またそれが全体の会話集にも反映される仕組みと
なっています。

また、コミュニティはメンバー登録制とし、他者の名前を名乗って
発言したり、匿名で無責任な発言が出来ない様にすることで、安心
して交流ができる仕組みとしています。

コミュニティにおけるコミュニケーション、自己紹介/メッセージ
の登録については、全て空欄への入力方式を用い、キーボードでの
文章入力という基本操作だけで交流が出来る仕組みとなっています。

また、同様の空欄入力方式にて、5ページのホームページを簡易に
作成して一般公開出来る機能が用意されています。
また、いつでも情報内容の修正更新が出来る仕組みとなっています
ので、お店紹介で季節毎にメニューを変えたり、趣味の紹介で週末
毎に釣った魚を紹介するなど、様々な情報発信や交流に活用が出来
ます。


この様に、胆江地域の地元仲間、また地域に関心を持つ仲間(胆江
地域出身者や胆江地域の文化産業等に関心を持つ人々)と、楽しみ
ながら会話、交流を進めていくことで、新たな出会いがあったり、
地域の蓄積・魅力を再発見したり、また相互の交流や刺激の中から
新たな産業や文化を創造したり、生活・趣味の豊かさを高めていく
という動きが、自発的に興っていくものと考えます。

また、こうした交流を通じて、情報の収集分析力や情報の発信力を
高め、更に他者とのコミュニケーションにより良好な関係づくりを
行い、互いに協力し新たなものを生み出していくコラボレーション
の能力までも含めた総合的な情報活用力=情報リテラシーを高めて
いくことが重要と考えます。

これにより、地域の創造力と生活、趣味の豊かさが高まり、地域の
活力が向上し、新たな形で地域文化の再構築が行われて行くものと
考えます。

今後、広域合併推進という視点からも、地域住民の意識と共に交流
実態が重要なポイントとなりますので、胆江地域のネットコミュニ
ティを通じて、各市町村の単位を越えた個人の交流を広げ、互いの
地域文化の再発見、新たなビジネスや文化の創造という形で、広域
交流のもたらす実際のメリットを明らかにすると共に、交流実態を
高めていくことが重要になると考えます。

胆江地域の各行政に具体的施策の早期推進を期待するところです。

また今後、地域情報化の推進に向けて、いち早くインターネットに
よる情報活用を進めている先進利用者、情報ビジネス各社の協力を
得て、地域ネットコミュニティ「水沢ネットクラブ」の試験運用を
進めて行きたいと考えています。
思いを同じくするみなさんにご協力をお願いし、胆江地域の情報化
推進についての提言を締めくくります。


 ■ Copyright 長根英樹         E-mail:nagane@kimono.gr.jp
   :2001年10月17日   更 :2001年10月17日